2009年07月20日

疾走!千マイル急行 感想 小川一水

疾走!千マイル急行 (ソノラマノベルス)
長澤 真
4022738200



祖国滅亡の危機を救うべく、援軍を求めて大陸を疾走する豪華機関車TMEと少年少女たちの物語。
僕は小川一水作品をそんなに読んでいる訳じゃないのですが、この人の作品からは強烈なまでの理想主義と、青臭いい正義感を感じます。
そして、そうした作者のポリシーのためにはご都合展開すら恐れない開き直りも。

もちろんそれはネガティヴな意味では決して無く、むしろ物語の中でまで必死で背伸びしたような、世間を斜に見た様な程度の低い中二病オーラを感じたくねえよと常々思っている僕みたいな人にはわりと心地よく感じる事もある。
度が過ぎて理想の押し付けになると若干拒否反応が働く事も無きにしろあらずですが、幸いこの作品ではその域には到達していない。

冒険あり、戦闘あり、友情あり、陰謀あり…と、娯楽作品としての要素はこれでもかと詰め込まれていて、500Pちょいのノベルスではあるけど退屈する事無く読めます。
特に陰のある少年キッツとテオとの若干屈折した友情や、TMEを追うレーヌスの装甲列車グロードン急行との息詰まる砲撃戦は本作品の大きな見所の一つ。


最後に故国を捨てて新しい国家を建設すると言う結末は、ある憂国系書評サイトで散々酷評されていましたけど、小川先生らしい〆方じゃないかと思います。この人はどうも、様々なしがらみを乗り越えたところにある本当の意味で個々が尊重しあえる自由と言うものに対して相当強い憧憬を持っている気がするので。
決して国家への愛や忠誠を頭から否定している訳じゃないと思うんよ。

まあ、その辺はその人の基本思想に関わってくる部分なので、伝わる人には言わなくても伝わるし、伝わらない人には百万回繰り返しても伝わらないし。
所詮そういうものです。


ともあれ、20世紀初頭を思わせる世界観と鉄の塊が発散するオーラは実に良かった。





posted by 黒猫 at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。