北川 和代

1冊500ページオーバーで全3巻の大作もいよいよこれで完結。
yrrと人類との戦いの行方やいかに…とか思ったら。
フランクさん神がかり。
まさかこんな月並みな精神論的な終わり方になるとは、ちょっと意外。
つまるところ、「アメリカの正義うぜえ」「キリスト教うぜえ」「ドイツすげえ」の3本が揃った嫌米流小説だったとはおじさん予想外だよ!
yrrと人類という相容れない二つの生命体の相克に関しても、いつの間にかファーストコンタクトものにテーマがずれてしまっているし、なんだかなあ。yrrのトンデモ解説にかなりのページ数を割いているんですけど、正直この終わり方なら別にyrrが単細胞生命だろうと宇宙人だろうと恐竜帝国だろうとなんでもいいんじゃないかと思えてしまう。だって、海を汚しちゃ駄目だよ、アメリカを信じちゃ駄目だよという作品の結論に対してyrrの生物としての成り立ちはあんまり関係ないんだし。
ハリウッド映画になる事も決定済みらしいですが、作者の反米思想の部分がどうなるのかは気になります。
ハリウッドお得意の原作無視魔改造を施してアメリカマンセーに書き換えられるのか、それともマイケル・ムーアに監督をやらせるのか(笑)。
この作品に登場する大統領以は露骨にブッシュをモデルにしている臭いので、ブッシュ時代の総括を兼ねて原作のままにしておくという手も考えられるな…。
ラストが安易なのはいただけませんが、そこに至る経緯そのものは海洋冒険小説らしいドキドキ感があって結構楽しめました。
・深海のyrr(上)感想
・深海のyrr(中)感想