2009年06月05日

ミミズクと夜の王 紅玉いづき 感想

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)
紅玉 いづき
4840237158



刊行当時随所で絶賛されていた本作品。当時から関心はあったのですが、僕はなにぶんヒネクレ者ゆえに世間がマンセー一色だと絶対に「いやちょっと待てよ…」となってしまうのは目に見えています。
なので、世間が落ち着いて冷静に読める環境が醸成されたらその時に読もう…と思ったまま、今の今までその事を忘れてしまってましたw


で、感想。
これから皮肉交じりにも取れる所感を述べる事になると思いますが、作品そのものを頭から否定してアンチの塊になっている訳ではないという事の表明として最初に書いておきますが、この作品が面白かったかそうでもなかったかと言うと、はっきりと面白かったと言えます。
その点については全く異存なし。

ストーリーの主軸を余分なデコレーションを排して述べるならば、奴隷の不幸な少女がナイーブな夜の王(魔王)に出合って恋をして、その後優しくて人格者な騎士に出合って、色々あった末に自分が運命の人と信じる夜の王の元へと帰っていく話。
実にわかりやすいストーリーとキャラクター配置、現世的な幸せに背を向けてでも恋に走る刹那的な結末…これはまさに、紛うかたなきケータイ小説のテンプレートではないか。

さらに、物語の終盤で多用される「ありがとう」と「ごめんなさい」という情緒的な単語。
この二つの言葉は素朴であるが故にストレートに情緒に響くキラーワードあり、泣きを取りたいならひたすら連呼しておけば間違いない…という位のものです。
それを熟知した上で、逐次投入の愚を犯す事無く最適のタイミングで一挙に投入する手腕は本当に凄い。


あとがきにて作者は「安い話を描きたい」と語っています。
あとに残らなくてもいい、光のようにぱっと輝く話。高尚でなんかなくていい話。
この作品を評するならまさにその作者の言葉そのまま。自分で書きたかったタイプの話を何のてらいもなくきっちりと書き上げるとは、とても新人とは思えないプロ意識ではありませんか。
ここまで一部の隙も無く娯楽性に特化して描ける才能が素直に羨ましい。

何の雑味もなくどこまでもピュアな恋愛至上主義。作中に登場した物語を彩るあらゆるギミックが、"恋する女の子は何よりも素敵"という一点に収斂される思い切りの良さ。
この作品に対して深読みなんて愚の骨頂。
作者が徹底したプロ意識で書き上げた「安い話」には、読者も徹底して「安い感想」で応じるのが礼儀というものです。
無駄な深読みなんて作品に対するレイプ行為に等しいし、内容が浅いなんて批判は的外れもいいところ。


だからこそ僕は安い言葉で、心から賞賛したいです。
「素晴らしい!感動した!」
と。




posted by 黒猫 at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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