2009年03月24日

クリムゾンバーニング 3 日米開戦 感想 三木原慧一

クリムゾンバーニング〈3〉日米開戦 (C・NOVELS)
三木原 慧一
4125007640



この巻で遂に日米開戦となると言う事で、やっと仮想戦記らしくなってました。
1巻はともかく2巻がまるまる冒険小説的な展開になっていて、あれ?ドンパチは?と面食らったり食らわなかったりした訳ですが、ようやく本格的に物語が始動です。
開戦までに3巻費やす仮想戦記というのも珍しいですが、まだブームの余韻が残っていた時期だからこそ許された特異なケースだと思います。完全にブームが終わって、固定読者層相手に細々と出版されている現在の状況だと絶対許されないだろうなあ。
ちなみに開戦と言っても全編ドンドンパチパチと言う訳ではなくて、終盤でアメリカによるハワイ攻撃が行われるだけです。それまでは2巻からの流れを引き継いだ展開。


そんな3巻の中でもやはり触れざるを得ない部分として、戦争の悪趣味な暗部を諧謔味たっぷりに描いた日本軍の「第2艦隊」
を巡る顛末があります。
開戦以前に行われた海外への派遣に際して艦隊の将兵が色々と問題のある発言をメディアに対してやらかしてしまった事に起因する事件と、その汚辱を半ば強制的にすすぐ為に国民向けプロパガンダの材料――犠牲の羊として死地に赴かされると言う、状況を俯瞰すると吐き気を催してしまいそうなアレ。
宣伝向けの勇壮さと、その裏の醜悪な算段とが同時に読者に突きつけられる形となっていて、とても嫌な気分にされます。まだアメリカ軍の露骨な権力闘争の方が、「よくない事」と判る分受け入れやすい。
大義で包んだ悪意ほど人を憂鬱にさせるものは無いという好例です。

しかし、かつての仮想戦記ブームの頃は勧善懲悪よろしく悪の米軍or第三帝国軍に完全と立ち向かう正義の無敵皇軍というスタイルの作品があまりに沢山氾濫した事を考えると、敵側だけでなく自軍の暗部まで描く三木原節は本来賞賛されても良いものなのかもしれません。賞賛するにはあまりに心理的抵抗は大きいけれど。


史実とはまったく違う世界観の中勃発した第二次世界大戦。
果たして戦局の行方はどうなるのか。まだ戦いは始まったばかり。




posted by 黒猫 at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦記・ミリタリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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