2009年02月25日

戦艦大和欧州激闘録―鋼鉄の破壊神 感想 内田弘樹

戦艦大和欧州激闘録―鋼鉄の破壊神 (GINGA‐NOVELS)
内田 弘樹
4877770747



以前読んでここで紹介した「鉄獅子の咆哮」(※)と同じく、特定の兵器を当時の技術の範囲内で改造し、その兵器用に想定した戦場に投入して実力の程を考察するというタイプの仮想戦記小説です。
仮想戦記と言うよりは純粋な思考実験、本来の意味でのシミュレーション小説と言っても差支えがないでしょう。


日米同盟(+とことん影の薄い英国)vs欧州を制覇したナチスドイツという構図となっている世界。
地中海でドイツ軍によって接収された伊仏の戦艦と戦い大破した大和は、米本土にて修理と大改造を施され最強戦艦に生まれ変わる。
具体的にはアメリカがモンタナ級用に研究開発していた新型砲を搭載され、アメリカ式のダメコンの導入、史実より数年早く発明されていたコンピュータの搭載などなど、最早ここまで来るとチートだろといわざるを得ない大改装振りですが、しかし全て当時の技術の範囲内に収まっているのですから文句は言えない。

そんな新生大和を待ち受けるのはドイツ軍の新鋭戦艦H級フリードリヒ・デア・グロッセとソ連から接収したソビエツキー・ソユーズの2隻を核として、その他各国から接収した有象無象を加えた戦艦群。大和が魔改造を受けてしまった手前、ビスマルク級程度では勝負にならないと言う事で史実では未完成だった二種の大物を引っ張り出して来たなという感じです。
かくして日米の戦艦vs欧州諸国の戦艦という最早浪漫しか存在しない大海戦が幕を開ける…。


なお、大和に搭載された新型砲というのが面白くて、従来の九一式徹甲弾よりも更に重量を増した超重量徹甲弾を撃ち出すものになっています。
当然初速も射程も従来の砲に比べると劣るものの、コンピュータと連動した射撃で中距離砲戦での極めて高い命中精度を実現し、かつ当れば確実に相手の装甲を食い破る砲弾。
もとより命中精度の著しく低下するアウトレンジ攻撃をすっぱり切り捨てて、確実に当てられるシチュエーションに於いて必殺の威力を発揮させるという合理性がなんともアメリカらしい。


所詮は大艦巨砲という淘汰されるべき思想の申し子とは言え、敢えて大艦巨砲の浪漫にこだわって構築された本作品。
例の如くなおざり気味の歴史改変部分や1945年当時まで大艦巨砲主義が幅を利かせている点など、ツッコミどころは色々あるのですが、浪漫優先なので野暮は言いっこなし。
それよりも素直に巨大な鉄の浮かべる城同士の殴り合いに興じるのが正しい読み方でしょう。
特にクライマックスでジェットランド沖に再び各国の戦艦が集い激しい火花を散らす展開は、航空機やミサイルの登場でやがて静かに姿を消していく戦艦の、最期の輝きとして幾許かの寂寥感すら感じさせるものがあります。

やはり今こそ日本はその造船技術をもってして再び戦艦を建造すべき(笑)。


鉄獅子の咆哮 感想


posted by 黒猫 at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦記・ミリタリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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