田中 啓文

駄洒落SFの第一任者が挑む新境地は未確認生物――UMA。
いわゆるネッシーとか雪男とか、そういう奴ですね。
夢のある与太話が大好きな僕自身かなり好きなテーマであり、たとえ作者が田中啓文氏でなくても手に取ったであろう本書。して、その内容とは…。
一話完結の連作形式で、特徴的なのは全て舞台が日本の片田舎になっている事。
日本が舞台となると一気に胡散臭くなると言うか、ネッシーはアリでもクッシー・イッシーはナシみたいな雰囲気は確かにありますが、この作品の場合明らかにそうした胡散臭さ効果を狙ってやっているフシもなきにしろあらず。
上巻ではネッシーならぬリュッシーを皮切りに、ツチノコにキツネ(何でキツネかは読んでのお楽しみ)にヒバゴンとにと色々な国産UMAが登場し、作者ならではの軽く脱力するオチが用意されています。
流石にツチノコの正体が×××というのはどうかと思うけど。
また、UMAを取り巻く人々の姿もUMAに負けず劣らずの個性派揃いとなっていて、ミステリー仕立てのストーリーもなかなか面白い。
ただ、いかんせん「蹴りたい田中」や「銀河帝国の弘法も筆の誤り」の時に見せてくれた鮮やかに全てを瓦解させる駄洒落オチが無いのが寂しいですね。
"田中啓文と言えば駄洒落"と強烈に刷り込まれてしまっているので、どうしても違和感が残ってしまいます。
基本的にはUMA好きなら楽しめる作品なのですが、主人公の馬子が精神的ブラクラな御仁なので、その点で人を選ぶかもしれませぬ。
蘇我屋馬子は芸人ではない。もっとおぞましい何かだ――。
★UMAハンター馬子(2) 感想


