小林 めぐみ

最近のギャルゲー的フォーマットに最適化されつつあるラノベの中にあって、どこか懐かしいジュブナイル的な香りを放つ1冊。
一応SFの短編集と裏表紙に書かれていますが、SFはSFでも"すこしふしぎ"の方に分類される気がします。
もちろんそれは良い意味の方で。
なんだか久しぶりに露骨な萌えの無いラノベを読んだ気がします。
僕は萌え否定論者ではなくてどちらかと言うと萌えは好きな方なのですが、その毎日毎日これでも喰らえと謂わんばかりに萌え系作品をぶつけられると流石に食傷気味にもなってくる訳です。
ここで今更自分流の萌えイデオロギーを開陳する気はありませんが、一言だけ言うならば「モノには限度がある」という事で。
もちろん萌えが無いと言っても押し付けがましい萌えが無いだけであって、春の若草の如く自然に萌え出る感情を託すに足りる主人公が不在と言う訳ではありません。
主人公にして現役女子高生であるところの真理たんの、お人好しでどこか肝心な部分の螺子が半回転ほど緩んだキャラクター性(結城心一さんの描くイラストのイメージどおり!)には真理たんは俺の嫁(候補)と感じさせるものが充分にあります。
一体どこで「百人斬り」等と言う厄い言葉を覚えて来たんだろうかとかいう疑問はありますが、程よく所帯じみた雰囲気とファンタジックすぎないキャラクター造詣のおかげで、そういう単語を口にしても何故か許せてしまう訳です。
というか僕も真理たんに斬られて(以下略)
物語の方は最初に書いたとおりにすこしふしぎな短編集で、異世界人やら宇宙人やら色々登場して、時に悪ノリな部分があったりもしますが、一話一話が綺麗に纏まっていて分量的にも手頃なため気軽に楽しめます。
大筋としては時間の円環モノなのですが、散りばめられた伏線や物語のプロットを意識しながら読まなくても最後に全ての構図を「何となく判ったような気分」にしてくれますから、時間ものが苦手な僕にも馴染み易いものでした。


