すーぱーぞんび
カエルは緑色に限る。
よく庭の隅っこで見かける土色のカエルや、少し標高の高い山に行くと足元で激しく跳ね回っている赤銅色のちいさなカエルもそれはそれで愛嬌が無いわけではないけど、やはり緑色に適うものなし。
…と言う訳で、この作品は蛙界の王子にして強大な魔法の力を持つ神、それでいて何故か人間の女性が大好きと言うエロガエルのディングルと、ある不幸な出来事でディングルと一心同体になってしまったお坊ちゃまのエリオット、その幼馴染でガンマンのティアナと商人のカーロッタが繰り広げる、世界の命運を賭けたちよっとエロスな物語です。
物語の形式としては19世紀程度の文明水準を持つ世界を舞台にした冒険ファンタジー。
あるアクシデントによって世界が破滅する引き金を引いてしまった主人公が、それを阻止する為に世界各地に散らばった宝珠を集めると言う、ある意味王道的なストーリーです。
近年ではこういう作品、結構貴重な存在かも。
設定自体はさほど変化球ではありませんが、キャラクターが非常に活き活きしているのが好印象。
主人公達も女装だったりガンツリーだったりと色々個性的なのですが、今回のエピソードに登場するフランシスカ姫は円匙こそ最強の武器と力説する塹壕を掘ることが大好きなかなりアレな人だったりしますし、また姫の両親を殺害し王国を乗っ取ったクニムント将軍も策略家と言いつつ言動がかなり意味不明でアレな人です。
もちろん中にはまともな人もいて、道中出会った女騎士のシグルドなんかは唯一の常識人と言えそうですが、いかんせん周りがアレな人ばかりなのでその真面目さが空回りしてしまっているのが…面白い。
意外と性的なネタに耐性が低いのもそこはかとなく萌え心をくすぐります。
基本的にはお色気コメディ色の強いライト・ファンタジーですから、シリアスな展開は今後も期待しない方が良さそうですね。ポップなイラストは作品にマッチしていて良かったかな。
ただ、これは感性の問題でしかないですが、ボケに対するツッコミが律儀すぎてちよっとクドいと思った。
ギャグは投げっぱなしにする事で効力を発揮するものもあるので、ツッコミ過ぎは興を削ぎます。
…ちなみにフランシスカ姫の円匙に対する認識は実に正鵠を射たもので、第一次世界大戦当時の塹壕戦においては取り回しの悪い銃剣等より遥かに優れた白兵戦用武器として重宝され、また殺傷力を増すために刃の部分を尖らせたりノコギリ状にしたものもありました。
これに対抗できるのはトレンチガンのみ!…というと大袈裟ですけど、実際にその位優秀なツールだった訳です。