2008年09月20日

たのしいムーミン一家 感想 トーベ・ヤンソン

たのしいムーミン一家 (講談社文庫 や 16-1)
トーベ・ヤンソン
4061380621




春、冬眠からの目覚めに始まり、秋の訪れまでのムーミン谷を描いたシリーズ第3作目。
タイトルだけ見ると1作目に思えてしまうのはご愛嬌というか、紛らわしいので何とかしろというか。
ちなみに事実上の第1作目に該当する「小さなトロールと大きな洪水」に関してはかなり入手が困難な状況なので未読。


2作目の「ムーミン谷の彗星」が結構冒険要素を含んだスケールの大きい話だったのに対して、今作はムーミン谷の日常に、飛行おにの帽子やニョロニョロの島と言った小さな不思議や冒険を若干のスパイスとして加えたと言う感じ。
冒険よりも谷の日常に比重が置かれているだけあって、谷の季節の移り変わりや谷の住民達がしっかりと描かれていて、前作が役者を揃えるための話で、今作はそれを掘り下げていく話とも言えそうです。
意外と我の強いスノークのお嬢さん(アニメではフローレン)や気難しいじゃこうねずみなど、どのキャラクターも変に個性が強いのは、様々な人間のタイプを戯画化したからとも言えそうですが、特に小難しい哲学に浸って引き篭もる癖があるじゃこうねずみなんかは、その社会性を欠く言動も含めてネット界隈で過激かつ衒学的な意見で持って釣り行為に勤しむ一部の御仁達の姿とかなりの部分でダブって見えます。
当然この作品が書かれた当時ネットなんて存在すらしませんでしたが、いつの時代にもああゆう人は存在すると言う事でしょうか。
だとしたらちょっと厭だな・・・。

しかし、この作品が真に素晴らしいのは、そうした一癖二癖あるキャラクター達が皆適度な距離を維持しながら大きな諍い無く共存している事にあると思います。
殊更友情だ、友愛だ、仲間意識だ・・・と言ったメッセージは含まれていないのに。
時に言いたい事はきちんと言い、時に面倒な事は聞き流す。必要以上に判り合おうとはしないが、かと言ってタイプの異なる者を排除しようともしない。
たったこれだけの事で、ムーミン谷の住民達は上手くやって行けている訳です。
ムーミン谷って、そこに住む人たちを含めてある意味理想郷かも知れません。



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ムーミン谷の彗星 感想




ラベル:ファンタジー
posted by 黒猫 at 08:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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