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うーん、これは正直微妙。
以前読んだ極北のハンターはなかなか面白かったんですが、今回は敵役が中途半端に人間的であり、また中途半端に悪魔的でもあり、どうにも煮え切らない。
また、前作では追う者と追われる者との立場が二転三転するスリリングさがあったのに、今回はそうした息詰まる展開がありません。全体として、この手のB級冒険小説には必須の筈の爽快感に大きく欠けます。
やはり敵役のカインが編に人間じみた=悪の権化にしてはいささか小物じみた思考回路なのが一番駄目ですね。
CIAのエース暗殺者の死体(肉体魔改造済み)に太古の悪霊が憑依したと言う事で、邪悪さと現代人の狡猾さを併せ持つ厄介な敵というのを描きたかったのだとは思いますが、古の悪霊が旅客機の貨物室で密航したり、車やアパッチ攻撃ヘリを奪い、自ら操縦して逃走とかそれはどうなのよと。
自己申告とは言え世界を滅ぼせるだけの存在が、そんなケチなスパイ程度の行動しか出来ないと言うのは、新手の脱力ギャグかと思っちまいます。
さらに終盤になると、安っぽい殺し屋を雇って主人公達を襲わせたりとか、最早太古の悪霊でもなんでもない状態に。
また、前作で大いに盛り上がらせてくれた大口径祭りに関しても、今回はM79をソウドオフして散弾銃に改造したものが一番の大型火器でしかなく、後はグリズリーとかデザートイーグルとかのハンドガン系ばかり。
.50口径クラスの対物ライフルがずらり勢ぞろいした前作に比べると随分慎ましやかなラインナップと言えるでしょう。
大艦巨砲こそ漢の浪漫とする僕としては、あまりに物足りない。
実はもう一作この作者の本が積み山に眠っている訳ですが・・・うーん、これを読んでしまった今となってはちょっと手が出ないなあ。今作だけが出来が悪かったのか、それとも前作が偶然出気が良かっただけなりか。
怖い怖い。
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