修羅の戦野〈4〉ハルピン最終決戦 (C・NOVELS) 横山 信義 by G-Tools |
修羅の戦野〈3〉北満州追撃戦 (C・NOVELS) 横山 信義 by G-Tools |
2巻で遼東半島まで追い込まれた日米軍だが、扶桑山城の旧式戦艦の奮闘と米軍の来援によって戦局を出していた聞き返し、いよいよ最終決戦の地ハルピンへ。
米軍の新鋭兵器を受領した日本軍に対して、どういうルートかは良く判らないがドイツからの供与された新鋭兵器で立ち向かってくるソ連軍。Ta152やHe162が満州の空を席巻する…かと思いきや、P-51Hと僅差の勝負になっている。日本のミリオタの間ではドイツ軍無敵神話がまことしやかに語られているので、マスタングとどっこいの勝負というのは不満を感じる人多いだろうなあ…。
ただ、ドイツ軍はいざしらず、例えば国産の戦闘機は日本の軍オタの間ではすこぶる評判が悪く、口さがない人はイタリア機以下とまで評してますけど、実際に対峙したアメリカではそれなりの評価を受けていたりする訳で、そこらの軍オタの評価が常に正しいとは限らないのもまた事実です。
で、決着の形としては朝鮮戦争をオマージュした形に落ち着け、荒唐無稽な方向に持っていかなかったのは良いと思う。
いくらアメリカの支援があってもソ連を打倒できる国力は日本にある訳ないし。
作者曰く修羅の波濤世界はこの作品を持って完結らしく、修羅世界がこの後どうなっていくかは想像するしかないのですが、日本の置かれた立場は現実の状況とたいして変わらず、違う点といえば中国や朝鮮に共産主義が蔓延ってない事程度なんですけど、同じ自由主義圏でも韓国との関係は見ての通りですし、中国は自由経済に舵を切って豊かになるにつれ高圧的になってきていますので、東西陣営の最前線が日本本土から離れた満州の地に移動したからといって、それで史実の日本とどのくらいの違いが出るかというと、実は殆ど変わらないに一票。
でも、架空の歴史物って現実との近似値内でどこまで捻る事ができるかが醍醐味だと思うので、これはこれでよいのです。